貯蓄ゼロでも、老後までに2000万円は貯められる!?FPが教える貯蓄のコツとは
貯蓄ゼロでも、老後までに2000万円は貯められる!?FPが教える貯蓄のコツとは
公開日 2019/07/12
更新日 2019/07/12

貯蓄ゼロでも、老後までに2000万円は貯められる!?FPが教える貯蓄のコツとは

世間を騒がす「年金だけでは老後資金が2000万円不足する」という問題。「貯金なんてほとんどない」「2000万円なんてどうやって貯めればいいの!? 」と絶望する、悲痛な声があちこちから聞こえます。しかし、「きちんと貯める仕組みを作ってしまえば、2000万円の貯蓄はそれほど難しくないはず」というファイナンシャルプランナーの加倉井慎さん。貯め方の極意を教えてもらいます!

監修:加倉井慎 取材・文:江尻亜由子 イラスト:しまだなな

有利な制度を活用しながら、貯めるしくみづくりを

  • Step1 貯金の細かい目標金額を設定する

  • 今回シミュレーションするのは、30歳で年収が350万円の単身女性。多少の個人差はありますが、税金や社会保険料などを天引きされた手取り年収は約280万円、月収は約23万3000円となります。(賞与はナシと考える)

  • まず、目標となる金額は2000万円。これを60歳までに貯めるとすると、30年間。1年間の目標貯蓄額は2000万÷30=約66万6666円、1ヶ月だと約5万6000円。

  • 「これで、1ヶ月の目標貯蓄額が決まりました。漠然と2000万円と聞くと非現実的な金額に聞こえますが、月々5万6000円であれば、まだ現実的に思えるのではないでしょうか」(加倉井慎さん・以下同)

  • とはいえ実行は大変そうだけど…。

  • 「私がアドバイスする際は、貯蓄目標額は手取りの20〜25%とお伝えしています。そう考えると、20%で4万6600円、25%で5万8250円。1人暮らしだと生活費が割高になる分難しいところはありますが、5万6000円は目標値の範囲内ではあります」

  • では次に、その方法を考えます。

  • Step2 先取り貯蓄で、目標額を全額積み立て

  • 「貯蓄で一番大事なのは、自動的に貯まる仕組みを作ってしまうこと。そのために最も良いのは、先取り貯蓄です

  • 先取り貯蓄とは、お給料が振り込まれたらすぐ、別口座などに目標貯蓄金額を引き落としてしまうこと。最初から貯蓄分はないものと考えて、23万3000円-5万6000円=17万7000円で生活します。

  • 「生活費を抑えるために効果的なのは、家賃や光熱費、携帯代などの固定費を見直すこと。本来家賃は月収の1/3に、と言われるので計算上は7万7666円以内ですが、都内の一人暮らし家賃の平均は8万円。会社で交通費が出るなら近郊に引っ越す、友人などとシェアハウスに住むなど、より抑えられる方法がないか考えてみましょう。

  • また光熱費については、自由化して低価格なところが増えているので、契約の見直しを。携帯電話も、格安SIMを使うなどでプランを考えてみることをおすすめします」

  • Step3 積み立てたお金は、貯金だけでなく金融商品を活用する

  • Step2で先取りする貯蓄用のお金は、普通預金や定期預金の口座に積み立てても、ほとんど金利がつかない(2019年7月現在、一般的な普通預金金利は0.001%)上、そこから約20%の税金が引かれるので、利息はほぼゼロ。そこで活用したいのが、お金自体が働いてお金を増やしてくれる可能性がある、金融商品です。

  • 「5万6000円の目標金額全額を毎月積み立てるのは難しいという人も、月々4万円の積み立てでお金が働いてくれれば、30年で2000万円に達する可能性は大きいです。また全額積み立てられる場合も、お金が働いてくれれば老後の余裕ができることに」

  • そのため本当はすべて金融商品で効率よく運用したいところですが、急にお金が必要になった際などに金融商品を解約する必要がないよう、まずはざっくり生活費の6ヶ月分(110万円ほど)の金額を普通預金で貯めます。

  • 「1ヶ月5万6000円の貯蓄の一部(2万3000円ほど)は、まず普通預金での貯蓄用口座を作り、先取りで引き落とす形に。

  • しかし貯蓄金額の一部(3万3000円ほど)は“つみたてNISA”(※Step4で説明)の口座などを作って先取りで引き落とし、金融商品を購入して資産に組み込みましょう」

  • 一般的には6ヶ月分の予備資金を貯めてから金融商品の購入を、といわれますが、税制優遇のつみたてNISAの制度は現状2037年で終了の予定なので、最大限活用するために普通預金と同時進行で始める提案です。

  • 「普通預金のほうで110万円貯まったら、そちらに引き落としていた2万3000円も、効率良く貯められる金融商品での積み立てに切り替えるのがおすすめです」

  • 金融商品とは?

  • 金融商品とは、投資信託や債券(国債、社債、外国債券)、株式、外貨預金やREIT(不動産投資信託)などのこと。

  • 「様々な種類がありますが、初心者におすすめなのは投資信託(投信とも呼びます)です」

  • 積み立てたお金は、貯金だけでなく金融商品を活用する
  • 投資信託とは?

  • 投資信託は一般的に、株式や債券、REITなどの金融商品を組み合わせてパッケージにし、細かく分割して多くの人に販売する金融商品。

  • 「株式や海外債券などは10万円、100万円単位の金額を出せないと買えない場合が多いのですが、投資信託は1000円、2000円単位で買うことができるので、少額から始められます」

  • ただ、投資信託は日本だけでも約6000本もの種類が。たとえば環境に配慮した企業の株式だけを集めた投信、日経平均や世界全体の株価指数に連動する投信、株だけでなく債券やREITを組み込んだ投信など。

  • 口座開設の場所により、購入できる投信が違うので要注意

  • 投資信託を購入するためには、証券会社で口座を開くのが基本です。現在は銀行や保険会社、郵便局などでも購入できますが、口座を開いた場所により、購入できる投信の種類が違うので、注意しましょう。

  • 「まずは自分が購入したい投信を選んでから、それを取り扱っている大手のネット証券会社などに口座を開くのが、取り扱い種類も多く、つみたてNISAなどにも対応しやすく、おすすめです」

  • ただし投資信託は元本保証ではないので、運用成績が悪い投信だと購入金額を下回って損をすることも。ただ、十分に分散投資された投信を10年単位の長期で保有した場合、過去の運用では10年で30〜50%の収益(預金の利息にあたる)が出ることも少なくありません。

  • 「口座開設が難しいと感じる場合は、外貨預金などは銀行で口座が開けるので、トライしやすいかもしれません。ただ手数料などのコストが高く、現時点では収益もあまり大きくありません」

  • 投信、外貨預金、普通預金などすべて、収益が出た場合は通常約20%の税金が引かれます。そこで、次のStepを考えましょう。

  • Step4 積み立てる場所は、税制優遇制度を活用する

  • 「購入したい投資信託を考える際には、つみたてNISAやiDeCoなど、税制優遇が受けられる口座で購入できる中から選ぶと、より有利になります」

  • それは両制度とも、収益にかかる通常約20%の税金がかからない、もしくは一部免除されるから。

  • 「たとえば100万円で購入した投信に30%のプラスが出たら収益は30万円。本来は30万円の約20%、約6万円が引かれて手元に残るのは24万円弱に。それがつみたてNISAなら30万円のまま。iDeCoはつみたてた年数により控除金額が決まり、その範囲内は非課税、その範囲を出た部分だけに税金がかかります」

  • 積み立てる場所は、税制優遇制度を活用する
  • つみたてNISAは現時点では2037年までの制度なので30年間フルには使えないけれど、年間40万円×15年=600万円の積み立てで仮に30%の収益が出たら、180万円。非課税になる約36万円(180万円の約20%)分、一般の証券口座に置いている場合とは、収益に差が出るのです。

  • ※つみたてNISAについては「社会人になったら、まず身に付けたい習慣はこれ 「先取り貯蓄」で、貯め体質になる!」もご参照ください。

  • 注意したい点として、収益の出ない金融商品ではこの節税効果はありません。投信の運用成績がマイナスになった場合はもちろん、iDeCoでは元本保証でほとんど利息のつかない預金的な商品もラインナップされていますが、これだと10円分が非課税、というようなことになるので、収益の可能性が大きいものを選ぶほうが有利です。

  • 「またiDeCoは原則として60歳まで引き出せないので、完全に老後対策のみの制度。途中でお金が必要になっても動かせないので、まずは引き出し可能なつみたてNISAで年間40万円の枠内いっぱいに投資信託を積み立て、それ以外の引き落とし金額からiDeCoを組み込むようにしましょう」

  • Step5 所得控除はきちんと申告する

  • 「天引きで納めている所得税は、各種所得控除を申告すると還付金として戻ってきます。面倒くさいと申告をしないでいるともらえないお金なので、必ず申告を行いましょう」

  • 所得控除とは?

  • ・寄附金控除(ふるさと納税など)

    ・生命保険料控除(個人でかけている保険)

    ・小規模企業共済等掛金控除(iDeCoで積み立てているお金)

    ・医療費控除(1年でかかった医療費が10万円を超えた場合)など

  • 「iDeCoで利益の出ない預金的な商品を選んだ場合も、会社員の掛金枠いっぱいの2万300円×12ヶ月=27万6000円分を1年間つみたてた場合、所得350万円であれば4万1700円分の還付金が受け取れます」

  • Step4で説明した収益での税制優遇がなくても、iDecoは所得税でも控除が。

    ただし、ローン控除を受けているなどで各種の所得控除額が支払った所得税額を超えてしまうと還付は受けられないので、要注意。

  • どうやって申告する?

  • 医療費控除など一部の所得控除は自分で確定申告を行う必要がありますが、基本的には会社で年末調整を行えばOK。

  • 通常は会社から書類が配られたりパソコンで会社のフォームに書き込む形になるので、それに記入し、保険の「控除証明書」など必要書類を揃えて提出します。

  • 「面倒だからと書類を出さなかったり、必要な確定申告をしなくても、国や役所からは何も言ってもらえません。自分できちんと申告することで意外にたくさん還付されるお金はあるので、それも貯蓄するくらいの勢いで、しっかり老後に備えましょう」

  • フィナンシャルプランナー 加倉井 慎さん

    相談に乗ってくださったのはこの方 フィナンシャルプランナー 加倉井 慎さん
    医療業界の営業を経て、フィナンシャルプランナーに転身。家計の見直し、保険相談、不動産売買のアドバイス、住宅ローンなどの相談を受け、担当世帯400世帯以上。大手金融機関社内で年間表彰される。2019年MDRT会員。
    お客様に寄り添うアドバイスで、「一家に一人、加倉井を」という存在を目指して活動中。

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