

派遣で働きながら正社員を目指せる道があった!「紹介予定派遣」ってどんな働き方なの?
派遣と一言で言っても、さまざまな働き方が存在。
なかには、派遣社員として働きながら、正社員を目指せる道もあります。
それが、「紹介予定派遣」という働き方。
その仕組みやメリット・デメリットのほか、社員登用を目指すうえでやっておくべきこと、アピールすべきポイントなどを紹介します。
「紹介予定派遣」の仕組みとは
「派遣」とは、派遣会社と雇用契約を結び、他の企業に派遣されるワークスタイル。けれども実は、派遣期間が終わった後に、派遣先の会社から直接雇用されることを前提とする派遣形態があるのです。この働き方は、「紹介予定派遣」と呼ばれています。
「『紹介予定派遣』とは、派遣社員として一定期間勤務してから、派遣労働者と派遣先の合意のもとに、直接雇用に切り替わる働き方のこと。派遣期間は最大6ヵ月と定められており、3ヵ月ほどの期間が一般的です。派遣就業前に、書類選考や面接が行われるケースが多いのが特徴。現在、事務職を中心に業界を問わずさまざまな会社で、多くの方が『紹介予定派遣』として活躍しています」(水野順子さん、以下同)
【「紹介予定派遣」の特徴】
◆派遣契約終了後に、直接雇用されることが前提になっている
◆派遣社員として働く際に、書類選考や面接が行われることが多い
◆派遣期間の最長期間は6ヵ月(登録型派遣は最長3年)
「紹介予定派遣」という働き方のメリット
派遣先の会社に直接雇用されることを想定して就業する「紹介予定派遣」。その大きな魅力は、派遣で働きながら正社員を目指せる可能性がある点です。また、入社後の「こんなはずではなかった!」というリスクを防げるのも、メリットだと言えるでしょう。
「仕事の内容が自分がやりたいことと一致するのかを、事前に知れることが大きな魅力です。社内の仕組みや人間関係を、社員に近い立場で確認することができるのも特徴。もちろん、安定雇用が手に入れられるのもポイントです」。
つまり、「紹介予定派遣」はじっくり自分に合う会社を選びたい方や、腰を据えてひとつの会社に長く勤めたい方にとって、理想的な働き方なのです。また転職を考えるうえでも、大きなメリットがあるとか。
「大手企業が、『紹介予定派遣』を活用しているケースは少なくありません。ですから、一般的な転職活動では入社が難しい企業に、直接雇用される可能性が高いことにも注目です」
派遣会社が条件交渉などを代行してくれるので、スムーズに就業することができるのもうれしいところ。派遣社員としてだけでなく、直接雇用された後の雇用条件などにも対応してもらえるでしょう。また、社員を目指したいけれど、自分のスキルが不安という人にもぴったり。実際に働くことで、自分の適性を見極められるのです。
選考はあるものの、一般的な正社員採用のプロセスよりはハードルが低く、面接の回数も少なめのよう。ですから、面接など短期間での自己アピールが苦手な人にぴったりです。実際に働きながら、スキルや人柄、将来性などをアピールしていきましょう。
【「紹介予定派遣」のメリット】
◆派遣で働きながら直接雇用を目指せる
◆会社や仕事内容との相性を確認できる
◆安定雇用を手に入れられる
◆大手企業に直接雇用されるチャンスがある
◆転職活動がスムーズに進められる
「紹介予定派遣」として働く際のデメリット
直接雇用時のミスマッチを防ぎ、働く側にも雇う側にも、大きなメリットがある「紹介予定派遣」。では、働く側にデメリットはあるのでしょうか。
「気をつけておきたいのは、直接雇用=正社員ではないケースがあること。直接雇用の形態が、契約社員やアルバイトの可能性があり得るのです。ただし、『紹介予定派遣』として働く前に確認できるので、派遣期間終了後の雇用形態を必ずチェックしておきましょう。また、普通の派遣よりも求人が少ないのもデメリット。そのほか、派遣社員時代よりも直接雇用後の収入が下がる場合があります。募集の際に正社員の給与が提示されますから、こちらも見落とさないようにしてください」
さらに、派遣される前に書類選考や面接などの選考があるのも、一般的な派遣と違うところだとか。また、派遣期間が終わったからといって、必ず直接雇用されるわけではありません。
「紹介予定派遣者、派遣企業先の双方の合意がない限り、直接雇用には進みません。働く側が『この会社で腰を据えて働きたい』と思わなかったり、企業側がスキル不足などと判断したりした場合は、派遣期間の終了と同時にその会社での仕事は終わりになります」
【「紹介予定派遣」のデメリット】
◆契約社員やアルバイトとして雇用されることがある
◆普通の派遣より募集が少なめ
◆直接雇用後、収入が下がることがある
◆書類選考や面接があるケースが多い
◆期間終了後、絶対に直接雇用されるとは限らない
直接雇用されるための具体的な対策と心得
入社する前に、実際に働きながら仕事内容や会社のリアルを確認できることが、紹介予定派遣の大きな特徴。けれどもいっぽうで、会社側からも、しっかりと吟味されていることを忘れてはいけません。そのための第一歩として、派遣前の書類選考や面接があるのです。
まず「紹介予定派遣」として採用されるためには、履歴書や面接で、あなたの適性や基本的なビジネスマナーが見られることを知っておきましょう。これまでのキャリアのなかで得たスキルや経験を正しく記載し、面接に臨むのがポイントです。
「『紹介予定派遣』として採用されたら、直接雇用に向けて働く、という意識を持ちましょう。派遣期間中は、企業側からあなたの働きぶりをしっかりとチェックされます。そのうえで、採用するかどうかの検討、判断が行われることを忘れないようにしてください」
「派遣だからこれだけしかやりません」「仕事は終わっていませんが、定時なので帰ります」などといった態度はNG。率先して仕事にあたり、真剣に打ち込むことが重要なのです。これまでのキャリアで培ったスキルや経験も、存分に活かしていきましょう。
「また、人間関係を良好に保つことも大切。その仕事を行うことができる能力があることをアピールするだけでなく、社内の人間関係を友好に保てる人望がある、ということが示せるとベストです」
さらに、目の前の仕事だけでなく、入社後の他部署への異動の可能性やキャリアパスについてもチェックしておくと安心。そうすることで、安心して長く働ける理想の職場に出会えるでしょう。
【直接雇用に向けてやるべきこと】
◆率先して、真剣に仕事にあたる
◆スキルや能力、将来性をアピールする
◆職場の人間関係を友好に保つ
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お話を伺ったのはこの方 キャリアカウンセラー 水野 順子さん
キャリアコレクション代表取締役。「女性とキャリア研究所」主宰。女性のキャリア開発の専門家として、これまでに2万人以上のカウンセリングや、6万人以上へのキャリア研修・講演を行ってきた。『All About』女性のキャリアプラン・女性の転職ガイドとしても活躍している。著書に『3分で感情を整理する心の整理手帳』(クロスメディア・パブリッシング)など。