派遣社員で働くならやっておきたい、「お金」に関する5つのこと
派遣社員で働くならやっておきたい、「お金」に関する5つのこと

2019/04/25

派遣社員で働くならやっておきたい、「お金」に関する5つのこと

派遣社員として働く場合、心配なのが雇い止めや中高年からの職探し。給付金制度に関する知識や、限られたお給料から効率的に貯蓄する方法など、万が一の時に困らないよう、普段から備えておくことは大切です。すでに派遣社員として働いている人もこれから派遣登録する人も、改めて知っておきたい、派遣社員の5つの「お金」対策をご紹介します。

監修:井戸 美枝(社会保険労務士、キャリアカウンセラー、ファイナンシャルプランナー)、加倉井 慎(ファイナンシャルプランナー)、取材・文:江尻 亜由子

受けられるサポートを、きちんと知ることが大切!

  • 派遣社員の特徴は、一般的には最長3年以内の有期雇用で、実働時間分のみの給与だということ。ボーナスがない分、スキルがなければ正社員より収入が少なくなると考えられます。これらをふまえて、派遣社員ならではの不安要素への対策を考えて行きましょう。

対策1:失業給付がもらえるまでは、なるべく1カ所で働く

  • 派遣社員として働く場合、最も大きな不安要素は、雇用が安定しないこと。合わないと思う仕事をすぐに辞められる自由がある反面、多くの場合3ヵ月ごとに契約更新があり、基本的には同じ派遣先で3年以上働くことができません。

  • 一方、離職前1年間に通算12ヶ月以上(派遣元の会社都合退職の場合、離職前1年間に通算6ヶ月以上。派遣契約で異なる場合もあるので、派遣会社に確認を)雇用保険に加入していれば、「失業給付」が受けられます。

    会社都合退職の場合は基本的に賃金の50〜80%が90日間分支給され、30〜44歳はより手厚くなっています(1年以上5年未満加入の30〜34歳は120日、35〜44歳は150日分支給)。

  • 契約更新されず短期での打ち切りが続くと仕事能力が低いとみなされ、待遇の良い派遣先を紹介されなくなってくるという話もあるため、まずは「仕事に慣れず契約更新してもらえない」などの事態を避ける努力が大切です。そして失業給付をもらえる資格ができる期間を過ぎるまでは、同じ派遣先で働くことをおすすめします。失業給付が受けられれば、次の派遣先がすぐに見つからない場合も落ち着いて次を考えられるはずです。

対策2:スキルアップして、時給を上げる

  • 期限の決まった契約であるため、比較的責任が軽い仕事を任されることが多い派遣社員。職務経歴として評価される実績を得ることが難しく、キャリアを積み上げづらいのも不安点です。

  • 責任が軽いのは気軽に働けるメリットである反面、誰にでもできる仕事ということで時給が低く抑えられることに。また20〜30代ならば選びきれないほどある求人が、中高年になると急に減ってしまうという現実も。それらを解消する方法が、スキルアップです。

  • そのひとつの方法は、「経験者案件」に応募できる職種を一定期間経験すること。派遣求人の場合、経験者案件だと時給が1500円〜、未経験者案件だと時給1000円〜など大きな差が。そのため派遣社員として一度は「一般事務」「テレフォンオペレーター」など応用範囲の広い職種を経験することで、次は「経験者」として応募でき、時給アップが図れます。

  • もうひとつの方法としては、時給3000〜5000円といわれる「専門職派遣」を目指すこと。エンジニアや薬剤師などがその代表ですが、若い時期から取り組めば未経験でも働ける可能性があり、実務経験を積むことができます。そうやって専門的なスキルを身につけられれば、年齢を重ねても一定の需要が見込めます。

  • そこで活用したいのが、「教育訓練給付金」。

    キャリアアップのため、厚生労働大臣指定の教育訓練講座(一般教育訓練)を自費で受講して修了すると、費用の20%(上限10万円)が給付されます。一般教育訓練の指定講座の例としては、TOEIC(R)、行政書士、色彩検定、キャリアカウンセラー試験などがあります。

  • MBAや看護師など専門的・実践的な教育訓練としては専門実践教育訓練があり、受講すると、かかった費用の50%(3年間で上限120万円)を給付。さらに資格取得など終了から1年以内に雇用された場合は、かかった費用の70%(3年間で上限168万円)が、いずれも雇用保険から支給されます。

  • 条件は、雇用保険に3年以上(初めて給付を受ける人は、一般教育訓練に1年以上)加入していること。

    ※申請は、ハローワークへ。

対策3:もらえる給付金は、きちんと申請して受け取る

  • 職業訓練給付金以外にも、国や自治体に申請するともらえる給付金が。自動的にはもらえないので、自分が条件に当てはまるかチェックして、使える制度は使いましょう。

  • ●傷病手当金(健康保険)

    労災以外の病気やケガ(私傷病)で会社を休んだ場合、賃金(標準報酬日額)の3分の2を支給。連続3日間休んだ後の4日目以降、最長1年6ヶ月の欠勤に対して支給されます。

    ※派遣元で健康保険に加入していたら対象。国民健康保険の加入者は対象外。

    ※申請は、健康保険組合、協会けんぽ都道府県支部へ。

  • ●介護休業給付金(雇用保険)

  • 1ヵ月ごとの支給額は、原則として賃金の67%。要介護状態の家族を介護するために仕事を休んだ場合、雇用保険に加入していると支給されます。支給対象期間は、93日間(1つの休業期間が3ヵ月を超える場合、もしくは複数回の休業3回が上限)。

    ※申請は、勤務先もしくはハローワークへ。

  • ●休業(補償)給付(労災保険からの給付)

    就業中、もしくは通勤中のケガや病気で仕事を休んだ場合は、3日休んだ後の4日目以降、賃金の約8割が支給されます。3日間の休みは非連続でもOK。

    ※これは自分ではなく会社が手続きを行い、業務遂行性と起因性が労働基準監督署に認定された場合だけ給付されます。

対策4:働きたい意思は、必ず派遣元へ申し出を

  • 1回の「働ける期間」は基本的に3年以内ですが、その都度派遣会社との契約を終了してしまうと不安定な生活になりがち。契約更新3年目(決まりはありませんが、期限が切れる半年前頃)で派遣社員が希望を出せば、派遣会社には「雇用安定措置」に対応する法的義務が生じます。

  • 日本労働組合総連合会のサイトなどにあるフォーマットを使い、「派遣先への直接雇用の依頼」「新たな派遣先の提供」「派遣会社での無期雇用」「安定した雇用の継続が確実にはかられる措置(紹介予定派遣、職業紹介、有給での教育訓練)」の中から、希望するものを書面で伝えましょう。

  • この制度は、派遣会社側が自動的に動いてくれるものではありません。希望を出さないと対応義務も生まれないので、きちんと申し込みをし、安定雇用やキャリアアップに活用を。

対策5:つみたてNISAやiDeCoで、将来のためのお金を着実に貯める

  • つみたてNISAは、年間40万円まで投資信託を定期的に購入すると、運用益や配当金が非課税になる制度。最長で20年間積み立てができます。

    ※つみたてNISAについて詳しくは「社会人になったら、まず身につけたい習慣はこれ 「先取り貯蓄」で、貯め体質になる!」をご参照ください。

  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自分で年金を増やすための制度。所得税と住民税が安くなり、運用益への約20%課税が非課税となるなど節税効果が高いのが特徴です。

    ※iDeCoの詳しい内容については、「派遣社員やパート・アルバイトの人ほど大事! 個人型確定拠出年金「iDeCo」の基本、教えます」をご参照ください。

  • 厚生年金保険に加入していても、派遣社員は企業年金や退職金対象外になっている場合が大多数。企業年金が出る場合も、将来の年金は減額されるかもしれません。

  • そんな中、貯金だと利息1%に満たない低金利である上、約20%の税金がかかります。100円の利息も、税引き後は80円程度。それに対し、つみたてNISAやiDeCoで積み立てる投資信託などの場合、運用益や配当金が貯金より期待でき、約20%の税金が非課税となるため、資産形成に有利です。特につみたてNISAは収入が苦しくなった際に引き出すこともできるので、早い時期に積み立てを始めるのがおすすめです。

  • 貯蓄法としても、最も効率的なのは、毎月お給料が入ったら使う前に一定額を引き落としてしまう“先取り貯蓄”。この2制度は、その意味でも適しています。

  • ただし、iDeCoは60歳まで引き出せません。1年に1度金額変更もできるので、無理のない範囲で長期積み立てを。最初の手続きや情報集めが多少面倒でも、数千円ずつ毎月コツコツ積み立てれば、いつかまとまった額になるので、将来の助けになるはずです。ぜひ、税制優遇制度を上手に使いこなしましょう。

  • お話を伺ったのはこの方
    社会保険労務士・キャリアカウンセラー・ファイナンシャルプランナー 井戸 美枝さん(写真左)

    井戸美枝事務所代表。社会保障審議会 企業年金・個人年金部会委員。産業カウンセラー、DCプランナー、行動経済学会会員、日本年金学会会員。キャリアプラン含むライフプラン、年金・社会保障問題が得意分野。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)など著書も多数。


    ファイナンシャルプランナー 加倉井 慎さん(写真右)

    医療用医薬品商社での営業職を経て、外資系金融機関へ転職しファイナンシャルプランナーに転身。家計の見直し、保険相談、不動産売買のアドバイス、住宅ローンなどの相談を受け、年間400世帯以上、累計2000世帯以上にアドバイス。大手金融機関の年間表彰に、3年連続入賞中。
    お客様に寄り添うアドバイスで、「一家に一人、加倉井を」という存在を目指して活動中。

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