これからの人生、いくら貯めれば安心できる?【子どもあり夫婦編】
これからの人生、いくら貯めれば安心できる?【子どもあり夫婦編】

2018/03/23

これからの人生、いくら貯めれば安心できる?【子どもあり夫婦編】

アラサーは、女性の人生の分岐点。独身を貫くか、結婚して夫婦二人暮らしになるか、それとも夫婦で子どもを育てる選択をするのか。いずれの場合も、老後のお金は気になるところ。
【単身編】【二人暮らし夫婦編】に続いて、今回は【子どもあり夫婦編】。
今後の人生で結婚し、子どもを育てるという選択をした場合、教育費を捻出しながら老後に備えてどのくらいの資産が必要なのでしょうか。必要な金額と、備え方の方法について、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんに聞きました。

取材・文:江尻亜由子、監修:岩城みずほ(ファイナンシャルプランナー)

子育てする妻も、パート収入を確保することが老後資金には大切

  • 老後資金を導き出すための基本的な公式は、【単身編】【二人暮らし夫婦編】で使用した以下のものと同じ。この公式にあてはめる数値を、30歳女性と、同年代男性との夫婦として合算して算出します。

  • この公式で求められる必要貯蓄率、老後生活費などが自動計算できるシステムが岩城みずほさんのHPに設置されているので、そちらに自分の数値を入力しながら考えるとわかりやすいはず。

    https://www.officebenefit.com/calculate/index.html

  • 男性は二人暮らし夫婦編と同様に、生涯の年収平均を500万円、手取り年収を400万円とします。これはフルタイムで働いて55歳くらいまで昇給し、その後約2割下がって60歳で定年を迎え、その後も現役時代の5割ほどの年収で65歳まで継続雇用を続けるという設定。その生涯年収の平均値として割り出した金額です。

    一方妻はパートで年間100万円の手取り収入を確保すると考え、二人の合計で「手取り年収」金額は500万円に。

  • 「妻は子育て期間もあるため、フルタイムで働くのが難しいと考える方が多いということで、パート収入を前提としています。

    〈年金額〉は、夫が厚生年金+基礎年金、妻は20代の正社員時代の厚生年金+基礎年金と考え、二人合計で244万円に。

    〈現在資産額〉は、住宅をローンで購入すると考え、頭金を支払ったためにマイナス400万円、という【二人暮らし夫婦編】の前提に加え、子どもが私立文系に進む際の最低限の教育費が500万円かかると考え、合計でマイナス900万円とします。

    〈老後生活費率〉は、現役時代の7割と設定します」(岩城みずほさん・以下同)

  • それらの条件をまとめると、下の表のように。

同じ収入でもパート分を全額貯蓄するほうが、老後に余裕

  • 上の表の数値を「人生設計の基本公式」に当てはめてみましょう。

  • この場合、月々の貯蓄目標は6万1000円、年間73万円が必要という結果に。

  • 「現役時代の生活は、貯蓄した後に月額35万円ほど。住宅ローンを支払いながらでもなんとかやって行けそうですが、これだと老後の生活費は夫婦で月額25万円弱。やや心もとないかもしれません。その場合は、パート代100万円×35年分=3500万円をすべて貯蓄すると考えて、現在資産額を3500万円-900万円=2600万円として再度計算すると、以下のように変わります」

  • こちらではパート代を全額貯蓄する代わりに、それ以外の月々の貯蓄は不要という計算に。現役時代の生活は月額約33万7000円で、老後生活費を8割とすると月額約27万円。

  • 「現役時代は住宅ローンを支払いながらこの金額、老後はローンなしなので、これならほぼ同じ生活レベルを保てるはずです。計算上は必要貯蓄率がマイナスですが、教育費はかけようと思うといくらでもかかりますので、その分も貯蓄しておくに越したことはありません」

  • また注目したいのは、現在資産額に入れたパート代。

  • 「出産までフルタイムで働いていた女性の中には『こんな時給で働く気がしない』とパートに後ろ向きな方も多く、気持ちはわかるのですが、年間100万円でも現役時代の35年間続ければ3500万円に。これが全くないパターンを計算していただくと、現役時代の生活は月額29万円弱から住宅ローンを支払い、老後生活費も月額23万円に。可能な限りフルタイムで働くのが理想ですが、難しければパートでも必ず収入を確保することが大切だと思います」

子どもの学費捻出と豊かな老後生活を両立するためには?

  • 上の設定では子どもの教育費を500万円としていますが、私学の一貫教育などを考えるなら全く金額が変わってきます。しかし老後生活費を減らすのは厳しいため、考えたいのは以下の2点です。

  • (1)妻が130万円の「壁」を超えて働く

  • 昨年まで、妻の収入が130万円以上(一部の人は106万円以上)になると所得税、住民税に加え、社会保険料がかかるようになっていました。しかし、これで損だと思うのは間違い。

  • 「妻が自分で社会保険に入ると、将来もらえる年金が増えます。2018年1月から配偶者控除の壁は新たに『150万円』になりました。妻の年収が150万円を超えても、段階的に『配偶者特別控除』が受けられますので、夫の年収にもよりますが、夫の収入が大きく減ることはありません。ですから『150万円の壁』も気にしなくて良いでしょう」

  • 例えば妻の年収を150万円とした場合、月額約1万1500円(会社と折半のため)の保険料を定年年齢の60歳まで30年間間払えば、年金は、年間約16万5000円上乗せされます。 ちなみにこのとき手取り年収は約117万円です。

  • 「年金の受給額は亡くなるまで変わらないので、寿命の長い女性にとっては心強いですよね。この場合、『人生設計の基本公式』の『年金額』に約16万円を加算して260万円にし、手取り収入分の約117万円×30年間=3510万円を【パターン2】同様に全額貯蓄していくことで、(妻の就労年数が5年少なくても)老後生活費は月額約28万円になります」

  • (2)年金受給年齢を先送りする

  • 「年金は、ひと月受給を遅らせると0.7%増えます。65歳から70歳まで5年間、60ヶ月受給を先送りすると42%増えて、夫婦の受給額244万円は346万円になります。その分、夫も妻も仕事を続ける必要がありますが、長寿時代を迎える今後は、元気なうちは働くという選択肢も考えて良いと思います」

  • その上で、貯蓄するお金は【二人暮らし夫婦編】同様、「iDeCo」や「つみたてNISA」を活用して節税を。

  • 「さらに子どもの大学資金としては、元本割れしない個人向け国債の変動10年型金利や定期預金に置いておきましょう。基本的に、高校までの教育費は毎月の生活費から捻出します。毎月の必要貯蓄率を達成することが大切ですので、教育費をかけすぎるのは問題です」

  • 教育費をかけすぎて老後資金が充分に作れないということになると、結果的に子どもに迷惑をかけてしまうことに。

  • 「私のHPで数値を変えて計算してみると、いろいろなシミュレーションができると思います。安心な老後生活のため、貯蓄目標をクリアにしてライフプランを考えてください」

  • ファイナンシャルプランナー 岩城みずほさん

    お話を伺ったのはこの方 ファイナンシャルプランナー 岩城みずほさん
    アナウンサー、生命保険会社勤務などを経て2009年にファイナンシャルプランナーとして独立。オフィスベネフィット代表。セミナー、個人相談、執筆など幅広く活動し、公正中立な立場でお金にまつわる情報を発信している。東洋経済オンライン『今からでも必ず解決できる!おカネと人生の相談室』、毎日新聞経済プレミア『保険選びの相談室』にて連載中。
    https://www.officebenefit.com

campaign注目のキャンペーン

related article関連記事