保険証があれば3割負担、は限界に。長生き時代、公的医療保険制度が危ない!?
保険証があれば3割負担、は限界に。長生き時代、公的医療保険制度が危ない!?

2018/01/18

保険証があれば3割負担、は限界に。長生き時代、公的医療保険制度が危ない!?

病院に行く際には、保険証を持っていれば医療費が安くなるのが当たり前。
そんな風に思っている人も多いのでは?
それは、日本の公的医療保険制度=「国民皆保険制度」が整っているおかげです。
しかしその制度は、いつまで続くかわからない、という説も。
将来設計に大きく関わる公的医療保険制度の現状と展望を、おさえておきましょう。

取材・文:江尻亜由子、監修:加倉井慎(ファイナンシャルプランナー)

「国民皆保険制度」が続くと予測する医師は、わずか25%!

  • 「国民皆保険制度」とは、国などによる公的医療保険で医療費が保障される制度のこと。6歳~69歳の医療費負担は3割に、70歳以上は所得や年齢によりますが1~3割に抑えられています。

  • その中には「国民健康保険」「全国健康保険協会管掌健康保険」「組合管掌健康保険」「共済組合」「後期高齢者医療制度」などいくつかの種類がありますが、何らかの形で国民すべてが加入できるのが基本。普段私たちが病院で支払う金額は、基本的には実際にかかっている医療費の3割で、残り7割は国民皆保険制度によって支払われているのです。

  • さらにその3割負担についても、ある程度高額になると「高額医療費制度」により自己負担限度額が抑えられます(※)。

  • ※詳しくは「突然のがん発覚。長期療養になった場合、仕事は?お金は? まずやるべきこととは」をご参照ください。

  • しかし海外では、公的医療保険制度がない国も。そんな国のひとつがアメリカ。民間保険会社との契約が唯一の保険となるため、経済的な理由で民間の保険に加入できない人も多いといわれます。保険に加入していないと治療を断られたり、注射1本打つだけで数万円、ということも起こります。

  • 「日本がそんな国でなくて良かった…」と安心したくなりますが、ちょっと待って。現在の「国民皆保険制度」がずっと続くとは限りません。2017年6月に日本経済新聞が、約10万人が登録する医師向け情報サイトを運営するメドピアの協力を得て、インターネットを通じて全国1030人の医師から回答を得た調査を実施。その中で『「現状の皆保険制度に基づく医療は今後も持続できると思うか」と尋ねたところ、持続可能と答えた医師は261人(25%)』(2017/6/30付 日本経済新聞 電子版)という衝撃の結果に。

  • では、「国民皆保険制度」の持続が難しい理由とは?

  • 1 少子高齢化

    最も根本的な原因が、こちら。現在の日本は、年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)共に減少傾向で、65歳以上の人口は1950年以降一貫して増加しています。現在は65歳以上1人を現役世代が2.4人で支えていますが、2050年には現役世代1.2人で支えることになると予測されています。

    国民皆保険制度は、直接的な健康保険料だけでなく税金などの公費でも支えられているため、現役世代が減るのは二重の意味で制度にとってのダメージに。

  • 2 医療費の増大

    医療を必要とする高齢者が増えると、それだけで単純に医療費は増えます。さらに現在は先進医療などで医療が高度化したり、数千万円もする高額な薬による治療が保険適用となるなど、同じ病気でも治療費のかかるものが増える傾向に。

    また2018年は、医療の診療報酬と介護報酬の同時改訂が行われる年。団塊世代がすべて75歳以上の高齢者になる2025年に向けた道筋が示され、住んでいる地域での治療を強化するために診療報酬が引き上げられます(薬価などは引き下げられます)。

  • 一方で「過剰医療」という問題も注目されています。これは、患者の要求により必要の薄い治療薬を使ったり、病院側が儲けるための無駄な検査や手術を行う、などのこと。

    このように様々な要因で医療費は膨れ上がり、その改善の兆しは、すぐには見えない状況です。

  • 3 高齢者医療への「拠出金」が負担に

    現役世代が加入する保険組合(「国民健康保険」「全国健康保険協会管掌健康保険」「組合管掌健康保険」「共済組合」など)は、それぞれが徴収した健康保険料から、「後期高齢者医療制度」を支えるための拠出金を出しています。この拠出金による現役世代の負担は大きく、10年前の段階でも各保険組合の9割以上が赤字といわれていました。

    今後は上記1、2などの理由によりさらに高齢者の医療費が増え、現役世代への負担がより重くなることが考えられます。

  • このように、様々なひずみが積み重なっている状態の国民皆保険制度。たとえ制度が維持できるとしても、保険料がアップする可能性は大。医療機関で患者が支払う窓口負担も、現在の3割から5割、7割などに増えるかもしれません。今後も変わらず頼れる制度だと油断せず、民間の医療保険に加入しておくなどの備えを考えておきましょう。

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