

社会人になったら、まず身につけたい習慣はこれ 「先取り貯蓄」で、貯め体質になる!
社会人になって自分でお給料を稼げるようになった喜びもつかの間、気づくと毎月、全然お金が残らない…。
そんな風に感じているなら、それは「貯めるシステム」ができていないから。
貯蓄ができるようになるには、「先取り貯蓄」の仕組みを作ってしまうのが大切!
その代表的な手法を紹介します。
貯金分を「なかったこと」にすれば、誘惑に負けることもなし♪
貯め体質になるための基本といわれる「先取り貯蓄」。お給料が入ったら最初に一定額を貯金してしまい、残りのお金で1ヵ月生活をする、という方法です。
通常は「お金が残ったら貯金を」と考えがちですが、それだと手元にお金があるという誘惑に負けて、つい使ってしまいがち。しかし先に貯金分のお金を確保してしまえば、残ったお金で生活するように習慣ができていくもの。
ただし、せっかく先取り貯蓄したお金をちょこちょこと引き出してしまったり、他でキャッシングなどをしていては本末転倒。効果的に先取り貯蓄をするためには、無理のない貯蓄金額の設定と、引き出しにくい仕組みにしてしまうことが重要です。
そこで、先取り貯蓄の代表的な方法を、難易度の低い順にご紹介しましょう。
難易度1 自動積み立て定期預金
誰にでも始めやすい先取り貯蓄の基本が、定期預金です。
一般的には普通預金より金利が高く、一定期間は引き出せないのが条件。お給料が振り込まれる口座から毎月○万円、という形で引き落とす定期預金口座を作れば、定期預金口座には自動的にお金が貯まっていきます。
お金を引き出せない期間については、銀行にもよりますが、1ヵ月定期という短いものから3ヵ月、半年、1年、5年、10年など様々。基本的には、期間が長いほうが利率が良くなります。
ただし利率については現在は超低金利のため(0.001%〜0.1%程度/2017年現在)、この状態で数年単位の定期預金にして金利を確定させるのはオススメしません。
半年〜1年くらいの期間で「満期自動解約」にする形とし、解約された分は普通銀行口座に払い戻す形にして、その時点でまとまった金額をより利率の良い定期預金などに預け変えるほうがおトクです。
また一部のネット銀行普通預金には、一般の定期預金より金利が高いところもありますので、あくまで引き落としシステム&引き出しづらい方法として割り切るほうが良いかもしれません。
難易度2 財形貯蓄
勤務先の会社に財形貯蓄のシステムがあるなら、最も手軽な先取り貯蓄法なので、使わない手はありません。
財形貯蓄とは、勤務先企業が金融機関と提携して貯蓄する制度。貯める目的別に、3種類があります。
●財形住宅貯蓄(住宅の建設、購入、リフォームなどの用途に限る)
●財形年金貯蓄(60歳以降の受け取りに限る)
●一般財形貯蓄(用途は制限なし)
会社が認めれば契約社員やパートでも利用ができ、給与から天引きされる形でお金が積み立てられます。「住宅」と「年金」では、銀行で積み立てる財形だけでなく、保険会社で積み立てる形での財形貯蓄もできます。金利は、積み立て期間などにより0.015%〜0.1%程度なのでそれほど高くありませんが、メリットは以下のとおり。
・「住宅」「年金」は550万円まで非課税
定期預金や普通預金の利息からは、約20%の税金が引かれます。しかし「住宅」「年金」の財形だと合算した元利合計550万円までは非課税に。
・「住宅」「年金」の保険積み立てでも非課税メリットが
保険で積み立てる場合、「住宅」は払込保険料の累計が550万円まで非課税に。「年金」は払込保険料の累計385万円までが非課税となります。
・「住宅」で貯めておいて「一般」に替えることも可能
「一般」は税制上の優遇はないため、将来が未定で家を買うかどうかがわからない時点では、「住宅」を選んで積み立てておくのがおすすめ。実際に購入する際には税制優遇が受けられますし、積み立て期間が過ぎた後に住宅以外の目的で使いたくなったら、「一般」と同じ利息への課税をされる形で引き出すことができます。
逆に「一般」で積み立てた財形を「住宅」に替えることはできないので、要注意。
まずは、自分の勤務先に財形貯蓄システムがあるかどうか、確認してみましょう。
難易度3 貯蓄型の保険
会社に財形貯蓄のシステムがない場合は、自分で任意の貯蓄型保険に入ることで毎月強制的に保険料が引き落とされ、先取り貯蓄に近い効果を得られます。税制上「個人年金保険」の条件を満たすものだと60歳を超えた時点からでないと受け取れないというデメリットがありますが(※)、医療や技術の発達で長生きリスク対策が必要な今後には、大切な選択肢です。現在の低金利では利率が低い代わりに、終身タイプで受給できるものを選んでおけば長生きするほど受け取れる年金額は増えるので、老後対策を重視するなら一考を。
もう少し早めに受け取りたい場合、「養老保険」などの貯蓄型保険で、受け取り年齢を50代などに設定し、一括受け取りすることも可能です。
保険での積み立ての場合、支払った保険料の中から手数料が引かれるため、積み立てされる金額がどのくらいなのか、最終的に受け取れる金額や受け取り期間がどのくらいなのか、きちんと確認することが大切。いろいろな会社の保険を比較して、加入を検討しましょう。
※個人年金保険の詳しい内容については、『公的年金だけでは老後が不安…。個人年金保険のメリット&デメリットを知りたい!』をご参照ください。
難易度4 つみたてNISA
少しハードルが高い方法としては、2018年1月からスタートする制度「つみたてNISA(ニーサ)」を活用し、投資信託などを定期的に一定額で自動購入して行く、というのも先取り貯蓄のひとつ。証券口座によっては、定期預金のように普通預金口座から自動的に引き落としを行い、毎月積み立て購入をしてくれます。
つみたてNISAとは、投資信託などの運用益や配当金(分配金)が非課税になる制度。通常だと20%ほど課税されるため、利益が出るほど節税効果が高くなります。その特長は、以下のとおり。
●非課税となる投資信託などの購入金額は、年間40万円まで
●非課税にできる期間は、最長20年間
●対象となるのは、一定の条件を満たす投資信託など
●月々1万円程度から買い付けが可能
●買い付けは定期的に行うことが条件
●非課税期間中に、一般口座に払い出し(解約)することも可能
現在のような低金利で定期預金や保険に加入するのに比べ、一部の投資信託の分配金利回りは30%を超えるものも。それが非課税となるのはメリットが大きいといえます。
ただし、以下のようなデメリットもおさえておきましょう。
●つみたてNISAのための証券口座を開設しなければいけない
●値動きのあるものに投資するため、購入時の良い利回りが続くとは限らない
●元本割れ(購入した金額より価格が下がり、積み立てたお金が減ってしまうこと)が起きる可能性も
●自分でどの投資信託を買うか、選ばなければいけない
●証券会社ごとに取り扱う投資信託が異なる
つまり、自分でしっかり情報を集めて比較検討し、自己責任でリスクをとれるなら大きなリターンを得られる可能性がある反面、失敗すると資産が減ってしまうことも。始める前に、いろいろな証券会社のHPなどで確認してみましょう。
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■お話を伺ったのはこの方 ファイナンシャルプランナー 加倉井 慎さん
医療用医薬品商社での営業職を経て、外資系金融機関へ転職しファイナンシャルプランナーに転身。家計の見直し、保険相談、不動産売買のアドバイス、住宅ローンなどの相談を受け、年間400世帯以上、累計2000世帯以上にアドバイス。大手金融機関の年間表彰式に、3年連続入賞中。お客様に寄り添うアドバイスで、「一家に一人、加倉井を」という存在を目指して活動中。