これから心配すべきは、死より長生き!? 長生きリスク対策に、家族の保険見直しポイントとは
これから心配すべきは、死より長生き!? 長生きリスク対策に、家族の保険見直しポイントとは

2017/11/08

これから心配すべきは、死より長生き!? 長生きリスク対策に、家族の保険見直しポイントとは

再生医療や予防医学の発達で、寿命は伸びる傾向に。
そんな中、死ぬことより怖いのは長生きでお金が足りなくなってしまうこと、という声も。
長生きするとお金が給付される、という保険も注目されている模様。
そんな長生きリスクへの対策として、今入っている保険を見直す人も増えつつあります。家族で保険を見直す場合、そのポイントは?ファイナンシャルプランナーの加倉井慎さんに聞きました。

取材・文:江尻亜由子、監修:加倉井慎(ファイナンシャルプランナー)

今入っている終身保険が、実は一生の保障ではないことも

  • 老後の備えについては「死亡・病気リスク対策」「長生きリスク対策」の二つが主なもの。以前は、一家の稼ぎ頭である夫の収入が途絶えた場合や、男女関係なく病気になった際に必要なお金を備えておくための生命保険や医療保険に主眼が置かれがちでしたが、最近は長生きした際にお金が不足するリスクへの対策として、個人年金保険の重要性が増しています。家族や自分がかけている保険がその両方に対してしっかり対応できているか、きちんと把握していますか?

  • まず、「死亡・病気リスク対策」となるのが生命保険。その主なタイプには「定期保険」「養老保険」「終身保険」があります。

  • 定期保険とは?

    契約時に定めた期間までに死亡(疾病特約があれば疾病も)などがあった際に保障額が支払われるもので、期間が過ぎると保障も受け取り金もない、掛け捨てタイプの保険です。

  • 養老保険とは?

    60歳などと定めた期間(満期)までに死亡もしくは高度障害になった際には死亡保険金が給付されます。満期になると保障がなくなる代わりに、積み立てた満期給付金を受け取ることができます。

  • 終身保険とは?

    保険料の払い込み時も、払い込み終了後も、契約時に定めた死亡や疾病などが起きた場合には一生涯保障金額を受け取れます。

  • しかし、一般に販売されている保険商品には注意点が。「“終身保険”という名前がついている保険だと、生きている限り契約当初の保障金額がもらえると思っている方も多いのですが、実は意外に多くの生命保険が“定期付き終身保険”というタイプになっています。このタイプだと、特約込みの保障金額が高く設定されていても、主契約となる「終身保険」として生涯受け取れる金額は少ない可能性があります。

    例えば私自身が若い頃に加入していた生命保険は、「死亡保障5000万円」となっていましたが、その内訳は下図のような形。実は終身保険として保障されるのは100万円のみです。4900万円分の保障がある特約部分は掛け捨ての定期保険となっていて、10年ごとに更新されて大体65歳頃に保障が終了してしまいます」(加倉井慎さん・以下同)

  • 一方で、「長生きリスク対策」として挙げられるのは、個人年金保険。

    積み立てた保険料を運用し、満期後は年金として受け取る貯蓄型保険です。

    ※個人年金保険の説明については、『公的年金だけでは老後が不安…。個人年金保険のメリット&デメリットを知りたい!』をご参照ください。

  • 「年金の補助として加入する方が多い個人年金保険についても、保障期間が一生涯続くものばかりではありません。まずはご自身やご家族の保険がどういうタイプなのか、きちんと把握することが大切です」

長生きリスクに備える、保険の見直しポイント3つ

  • それでは、人生100年時代を見据えて保険の見直しを考える際にチェックするべきポイントは?

  • (1)「死亡・疾病リスク対策」と「長生きリスク対策」の比率

    養うべき家族がいる夫の立場と単身男性、子どもが巣立った後の女性と新婚の女性とでは、必要とする保険が違います。ライフステージが変わるごとに、見直すことが大切。

  • 特に、生命保険的な保障と年金保険的な保障のバランスは重要です。

    「死亡・疾病対策」に比重が偏ると、生きているときに受け取れる金額より死亡時金額のほうに手厚くなり、せっかくの保険が老後生活で生かせないことも。成人前のお子さんがいる場合には生命保険も重要ですが、単身者や夫婦2人だけの老後を考えるなら、貯蓄型のものや終身型の個人年金などに切り替える検討を。

  • (2)自分が加入している「終身保険」で、生涯必ず受け取れる金額を確認

    加入時に聞いた保障金額が一生もらえると思っていたら、「定期付き終身保険」で終身部分はほんの一部、ということも。終身保険として満期以降に受け取れる金額がいくらになるのか、改めて確認してみましょう。

  • (3)貯蓄型保険なら、インフレ対策ができるかを確認

    金利の低い現在は、通常の日本国債などで運用するタイプの貯蓄型保険だと利率が低いため、将来インフレが起こると相対的に受け取り金額が目減りし、損をする可能性も。

    個人年金保険の加入を考える場合は、運用リスクはありますが、利率の良い外貨建てのものなどを選択肢に入れるのも一案。

    ただし、バブル期に加入した保険は終身保障のない養老保険でも利率が良い場合が多いので、満期後にかけ替えることを考えても良いかもしれません。

かけ替え保険として注目される「トンチン保険」。それって何?

  • 「長生きリスク対策として役立つのは、やはり個人年金保険の終身タイプです。これなら、予想外に長生きした場合に、公的年金とあわせて一定金額が亡くなるまで受け取れます」

  • その個人年金保険の中でも、「トンチン保険」と呼ばれる新しいタイプのものが注目されています。これは17世紀のイタリア人銀行家、ロレンツォ・トンティが発案した保険制度をベースにしたもの。長生きするほど多額の保険金や年金が受け取れるシステムの保険です。契約可能年齢が50〜80代で、受け取り開始年齢が70歳以降となります。これなら、一般の養老保険を60代で満期で受けとった後にかけ替えられます。

  • 「現在日本で用意されているトンチン保険は、男性だと90歳前後、女性だと90代半ば以上に長生きをしないと元本割れをする可能性のあるものが多いです。しかし今後の医療の発達を考えると、長生きリスクに備えるためのひとつの選択肢だと思いますよ」

  • まずは、家族で加入している現在の保険について客観的にチェックを。

    「3つのポイントをチェックした上で、かけ捨ての定期保険を選択する方も、養老保険を満期まで持とうという方もいらっしゃいます。保険についての考え方は、本当に人それぞれ。見直しの際には、ご家族で意見を出し合って方針を決めるのが第一です。

    その上で、新たに加入し直すならどのような種類があるのか、様々な保険を検討することが後悔しないためのコツ。私たちのようなFPに相談していただければと思います」

  • 今や、女性の2人に1人が90歳以上まで生きるともいわれる時代。長生きリスクについても、是非一度しっかり考えてみましょう。

  • ファイナンシャルプランナー 加倉井 慎さん

    ■お話を伺ったのはこの方 ファイナンシャルプランナー 加倉井 慎さん
    医療用医薬品商社での営業職を経て、外資系金融機関へ転職しファイナンシャルプランナーに転身。家計の見直し、保険相談、不動産売買のアドバイス、住宅ローンなどの相談を受け、年間400世帯以上、累計2000世帯以上にアドバイス。大手金融機関の年間表彰式に、3年連続入賞中。
    お客様に寄り添うアドバイスで、「一家に一人、加倉井を」という存在を目指して活動中。

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