これからの人生、いくら貯めれば安心できる?【単身編】
これからの人生、いくら貯めれば安心できる?【単身編】

2017/10/06

これからの人生、いくら貯めれば安心できる?【単身編】

アラサーは、女性の人生の分岐点。結婚する?出産する?それとも独身を貫く?いずれの場合も、老後のお金は気になるところ。「老後貧乏」「下流老人」など老後への不安をあおる情報も多いですが、実際のところ、老後に備えてどのくらいの資産が必要なのでしょう。

【結婚しないで単身のまま】【結婚する・子どもなし】【結婚する・子どもあり】のパターンごとに、3回に分けて、それぞれどのくらいの金額が必要で、どのような備えをすれば良いのか、専門家に聞きました。第1回目の今回は、単身のまま老後を迎えるパターンを考えてみます。

取材・文:江尻亜由子、監修:岩城みずほ

人生設計の基本公式で、貯蓄率を計算

  • 老後資産を導き出すために、フィナンシャルプランナー岩城みずほさんが提案する基本的な公式が、以下のもの。まずは、その数値の考え方をご紹介します。

  • [人生設計の基本公式]

    たとえば、30歳女性の平均値で考えてみましょう。国税庁の「平成27年分民間給与実態統計調査」によると、30~34歳女性の平均年収は301万円、35~39歳女性の平均年収は293万円。厚生労働省による平成28年の「年齢階級別平均賃金」でも、30~39歳女性の年収は292万~304.3万円の幅となっています。

  • 「今回は単身のまま老後へ、というパターンなので、パートではなく正社員で働くと考えます。一般的にお給料は55歳くらいまでは上がりますが、その後は2割程度下がりますので、生涯の手取り年収の平均は350万円程度と考えます。

  • 上記の式に当てはめるのは、現在の手取り年収ではなく「今後の手取り年収の平均」です。業種にもよりますが、大体40代半ばくらいが生涯の平均年収になりますので、金額がわからない人は先輩に聞いてみてください。ここでは350万円として計算します」(岩城みずほさん・以下同)

  • 「老後生活費率」とは、現役時代の生活費と比べて老後はどれくらいの水準で生活するかという比率です。ちなみに総務省の家計調査では、現役時の70%が必要、という回答が最多です。住宅ローンが終わって住居費がほぼかからなくなったり、都心から地方移住して生活費が安くなるのであればもっと下げても構いませんし、賃貸なら現役時代の生活費と変わらないという場合もあります。ご自身の状況から、現役時代からどのくらい減らせるかを考えてみてください」

  • それらの条件をまとめると、下の表のとおり。

平均値で計算した必要貯蓄額は、年間約70万円だけど…

  • 上の表の数値を、「人生設計の基本公式」に当てはめてみます。

    「必要貯蓄率は19.9%。つまり年間の目標貯蓄金額が約70万円となり、1ヶ月に平均すると5万8000円となります」

  • 逆に、年収350万円-貯蓄額70万円で、現役時代に使えるお金は年額約280万円、月額約23万円。目標金額を貯蓄できても老後は23万円の70%、月額約16万円で生活する計算です。

  • 「なかなか厳しいと感じると思います。この計算式は、前提の数字を変えてみて、何度も計算することが大切です。これならば毎月の必要貯蓄額を達成できるという数字がでるまでトライしてください。例えば、一時退職金が出る人は、その見込み額を「現在貯蓄額」に足す。「老後生活費率」を10%引き下げてみる。また、70歳まで現役年数を延ばす(老後年数は5年短くなる)。というように色々試してください。私のHPに数値を当てはめて自動計算できるシステムを作りましたので、ぜひ計算してみてください」

    https://www.officebenefit.com/calculate/index.html

同じ貯蓄額でも、“お金の置き場所”で大きく差が!?

  • では、目標額の貯蓄を継続的に行うためには、どうすれば良いのでしょう。

  • 「月額約6万円の貯蓄を実行するためには、残ったら貯蓄するではなく、お給料が出たら、まず先に貯蓄することです。その際の“お金の置き場所”が大事です。現在の定期預金金利は0.01%ほどで、なかなか預貯金ではお金は増えません。一方で、確定拠出年金制度(企業型・個人型)は、拠出時(積み立て時)、運用中、受け取りの時に税制優遇が受けられるお得な制度です」

  • その節税効果は、下のとおり。

    ※iDeCo掛金上限は企業年金の有無などにより異なるので、イデコ公式サイト

    https://www.ideco-koushiki.jp/guide/などで確認しましょう。

  • 「iDeCoは運用商品を自分で選ばなければならない自分次第の年金制度です。どうしてもリスクを取りたくない人は、元本保証の定期預金もあります。その場合でも優遇税制は同じですので、いわば、年率20%で運用しているのと同じ効果があります。60歳まで引き出せないのが注意点ですが、逆に言えば、確実に老後資金作りができるということです。とてもお得な制度ですので、活用しない手はありません」

  • iDeCoの上限を超える貯蓄額は定期預金でもいいですし、リスクを取れるならば、来年から始まる「つみたてNISA」などで運用を。ともかく、しっかりと貯蓄していくことが大切です。まずは、生活費の半年から1年分の預貯金をしましょう。シングルの方は、自分が病気になった時のことを考え、過大な保険に入っている人もいますが、保険は掛け捨ての安い保険にして、その分、しっかり貯蓄していきましょう。

  • 「また月々の臨時支出を理由に貯金を取り崩してなかなか貯まらない方もいらっしゃるのですが、30歳にもなれば年間で大体どれくらいの支出が必要か、わかってくるはずです。年末や夏期の帰省費用、お祝い金、お花見や忘年会シーズンの交際費など、想定できる支出は年間で考えて先にプールし、残りを12ヶ月で割って月々の生活費を考えましょう」

  • 生活費の中で削るなら、家賃や通信費など、固定費から削るのが家計スリム化のポイント。自分の生活で大切にしている部分は残し、その分どこかで削ることができればOK。まずは、「人生設計の基本公式」で自分の老後の生活費をイメージし、いくら貯めなければならないかを知ることです。自分が使っても良い支出額を把握し、目標貯蓄額をしっかり積み上げていけば、漠然とした老後不安は解消できるはずです。

  • フィナンシャルプランナー 岩城みずほさん

    お話を伺ったのはこの方 フィナンシャルプランナー 岩城みずほさん
    アナウンサー、生命保険会社勤務などを経て2009年にフィナンシャルプランナーとして独立。オフィスベネフィット代表。セミナー、個人相談、執筆など幅広く活動し、公正中立な立場でお金にまつわる情報を発信している。東洋経済オンライン『今からでも必ず解決できる!おカネと人生の相談室』、毎日新聞経済プレミア『保険選びの相談室』にて連載中。
    https://www.officebenefit.com

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