【医師監修】生理中の腰痛、原因は?少しでもラクにする方法を紹介します
【医師監修】生理中の腰痛、原因は?少しでもラクにする方法を紹介します

2019/07/12

【医師監修】生理中の腰痛、原因は?少しでもラクにする方法を紹介します

生理痛の症状や度合いには個人差があり、体質や生活環境などによってさまざまですが、なかでも代表的な症状が腰痛です。
症状が重くなると、日常生活に支障をきたしてしまうことも。

そこで今回は、生理にともなって生じる腰痛の原因や、腰痛を緩和するための対策をご紹介します。
腰痛があまりにもひどい時は、もしかしたら子宮内膜症などの疾患を発症している可能性もありますし、その他の生理トラブルにも注意が必要です。
どんな症状があてはまるのか解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

監修:成城松村クリニック院長 松村圭子

1. 生理の時どうして腰痛が起きるの?

  • 生理痛の原因はさまざまですが、主なメカニズムやその症状について解説します。

  • 1-1. プロスタグランジンの分泌(だるさ、冷えの原因にも)

    月経血を正常に排出させるためには、子宮を収縮させる必要があります。このために分泌されるのが、子宮内膜で生成れるプロスタグランジン(PG)という物質です。このプロスタグランジンが分泌されると、子宮内膜が外側に押し出され、生理が始まります。

  • プロスタグランジンは、子宮を収縮させるために不可欠な物質ではありますが、多量に産生されてしまうと過度の子宮収縮が起こり、子宮内での血液循環を阻害してしまうことがあります。これは、虚血性疼痛(きょけつせいとうつう)と呼ばれるもので筋肉をギューッと締め付けられるような痛みです。

  • プロスタグランジンが過度に産生される原因の一つとして挙げられるのが、子宮内の血流が滞っていること。子宮の動きが鈍くなっているため、プロスタグランジンをたくさん分泌して、子宮をより強力に収縮させようとする作用生じるのです。また、プロスタグランジンは血管を収縮させる作用もあるので、さらに血行が悪くなってだるさや冷えという症状が生じやすくなります。

  • また、一般に、10代後半ぐらいまでは、子宮の頸管部という部分が未熟で細く、経血を押し出す際に痛みが強く出る傾向もあります。これは、体の成熟に伴って少しずつ軽減されてくるものです。

  • 1-2. 骨盤内うっ血(生理痛+冷え症やストレス、ホルモンバランスの乱れによるもの)

    生理痛には、上述したような経血を押し出すための子宮収縮に由来する痛みの他に、骨盤内に血流が滞り、うっ血してしまうことによる痛みがあります。骨盤内がうっ血すると、下腹部にギューッと押されるような重苦しさを感じるようになり、重症化すると痛みがひどくなるのです。

  • うっ血の原因は、生理中のホルモンバランスの乱れによるものだとされています。骨盤内にうっ血が生じると、下半身の血流が悪化して腰痛や冷え症を引き起こすことも。こうした症状はストレスのもとになりますし、逆に精神的なストレスがホルモンバランスに影響を及ぼすという悪循環も起こり得ます。

2. 生理時の腰痛、少しでもラクにする方法は?

  • 生理時の腰痛は、腹部・下腹部痛に並ぶ大きな苦痛です。腰痛の原因となる生理痛の、すべてを取り除くことはできなくても軽減する方法はありますので、ぜひ取り入れて対策してみましょう。

  • 2-1. ストレスケア

    生理痛をもたらす原因のひとつには、自律神経の不調からくるホルモンバランスの乱れが挙げられます。この不調が起こらないようにするためには、基本的な生活習慣を見直すことが大切です。規則正しいライフスタイルを心がけることや、睡眠をしっかりとること、栄養バランスの良い食事をとることなどが重要。そのほか、入浴タイムを充実させたり趣味に没頭できる時間を設けたりして、意識的にリラックスする時間を持つことも効果的です。

  • 2-2. 体を温める(冷え対策)

    前項でも述べたとおり、体が冷えると生理痛が起こりやすくなってしまいます。冷えによって血流が滞ると、子宮の動きが鈍りスムーズに子宮収縮が行われずプロスタグランジンが過剰に分泌されてしまうためです。この対策として効果的なのが、体を温めること。まず、しっかりと入浴することで体を芯まで温め、適度な運動をすることで体温を上昇させることが大切です。さらに、体を冷やさないような食事をとるように心がけましょう。

  • 湯たんぽやカイロを使って、下腹部を中心に温めるのもおすすめです。とくに意識して温めたいのは、ホルモンバランスを整えるためのツボがたくさん集まっているおへその下あたり。もうひとつは、おしりの割れ目の上あたりにある仙骨(せんこつ)という骨。この周囲には骨盤があり、内部には子宮や卵巣がありますので、このあたりの血流の改善が期待できます。また、内腿にも卵巣に関するツボがあるので、この部分をカイロで温めたり、保温効果のある下着を身につけるようにすると良いでしょう。

  • 2-3. 骨盤の解放エクササイズ

    骨盤や股関節まわりの筋肉が凝り固まっていると、血流が滞って生理痛が強くなってしまいます。この対策として有効なのが、ストレッチで筋肉の緊張をほぐしてあげること。スキマ時間や外出先でもできる、簡単なストレッチをご紹介します。

  • 1. 腰をまわすストレッチ

    両足を肩幅に開いて直立します。両手は軽く腰にあて、円を描くような気持ちでゆっくりと腰をまわしていきます。これを左回転と右回転、それぞれ5回ずつ、1日に3回を目安に行ってみましょう。

  • 2. 骨盤をゆらすストレッチ

    椅子に浅めに腰かけます。骨盤を立てるように意識しつつ、息を吸い込みながら背筋をしっかり伸ばします。次に、息を静かに吐きながら、ゆっくりとお腹をへこませつつ背中を丸めて猫背のような体勢に。骨盤が後ろに傾いているのを意識してみてください。これを10セット行います。

  • 2-4. 腰部分をほぐす

    生理痛の痛みを緩和するための対策として、腰まわりを手で揉みほぐす方法も知られています。血流が改善されることもありますし、リラックス効果も得られます。以下、ポイントをご紹介します。

  • ・揉みほぐす場所

    生理痛対策の場合は、仙骨まわりがケアに適した部位です。仙骨を中心に、ウエストまわり、骨盤まわりにオイルを塗布したら、手のひらを使って優しく揉んでいきましょう。

  • ・オイルを使う

    手で揉みほぐす時は、専用のオイルを使うとより効果的です。肌のすべりを良くして摩擦を防いでくれますし、好みの香りのオイルを使えば、リラックスできて自律神経を整える作用も期待できます。

  • ・蒸しタオルで温める

    仙骨まわりや下腹部に蒸しタオルをあてて温めると、血行が良くなるのでマッサージ効果が高まります。

  • 2-5. ヨガで不調を軽減

    筋肉をほぐす効果や精神的なリラックス効果のあるヨガは、自律神経を整えて、生理痛を和らげてくれます。体が硬い人でも無理なく行える、太陽礼拝のポーズをご紹介します。呼吸が基本となりますので、意識的に深く息を吸ったり吐いたりしながらポーズをとってみましょう。

  • 「太陽礼拝のポーズ」

    1. 足をそろえてまっすぐに立ち、息を吸いながら、両手を上へ伸ばして目線も上へ。

    2. 息を吐きながら、前屈し、ひざを軽く曲げて、両手を床につけます。

    3. 息を吸いながら、ひざを伸ばして上半身を少し上げ、背中を90度にして、背筋を伸ばします。

    4. 息を吐きながら、両手を床につき、両脚を後ろへ伸ばします。

    5. 息を吸いながら、両ひじを床につけてかかとを上げ、腰を少し浮かせて頭から足までまっすぐにした状態で5秒間キープ。

    6. 息を吐きながら、次に両足を床につけて腰を上げ、三角形のような形になって5秒間キープ。

    7.息を吸いながら、背中とおなかを伸ばす意識で、顔を前に向けます。

    8. 足をはじめの位置に戻して前屈します。

    9. 息を吸いながらゆっくりと体を起こし、両手を上へ伸ばして目線も上へ。

    10. 直立の姿勢に戻ります。

  • 2-6. ひどい場合は婦人科へ

    程度の差こそあれ、多くの女性が抱えている生理痛の悩み。とくに病気といえるほどでなくても、体質やストレスなどが原因で、不調が生じてしまうものです。日常生活に支障をきたすほどでなければ、ここでご紹介したような方法で対策をするのがおすすめですが、症状が重い場合は迷わず婦人科を受診しましょう。

3. もしかしたら器質性月経難症かも!?

  • 日常生活に支障をきたすほどの生理痛で、原因となる病気がない場合は、「機能性月経困難症」と呼ばれています。これは、一般に思春期から20代前半の女性によく見られる生理痛のこと。しかし、生理痛が重い場合は、以下のような病気が潜んでいるケースもあります。

    何らかの疾患が原因となって、重い症状が起きてしまうものを、「器質性月経困難症」と呼んでいます。月経困難症の原因はさまざまですが、とくによく知られているのは次に挙げる3つです。

  • 3-1. 子宮内膜症

    子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている子宮内膜が、本来あるべきところではない卵巣や腹膜などで、増殖や剥離を繰り返してしまう病気です。子宮内膜症は、卵巣にできた場合はまれに悪性化しますが、基本的に良性で、命にかかわる病気ではありません。個人差がありますが、一般的には痛みを伴います。閉経までのあいだ、医師の指導の元に毎月の月経について痛みや周期を記録するなどし、症状をコントロールしていく必要があります。

  • 3-2. 子宮筋腫

    子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。命に直接かかわる病気ではありませんが、大きくなると腰痛や頻尿、便秘、不妊の原因となりますので注意が必要です。過多月経で生理痛がひどい場合、薬物療法や手術療法によって治療します。

  • 3-3. 子宮腺筋症

    子宮腺筋症は、子宮内膜症とよく似た病気です。子宮内膜組織が子宮筋層に侵入して筋層が厚くなるもので、出産経験のある方に多くみられます。症状としては、生理痛や過多月経、貧血など。軽い場合は鎮痛薬や内分泌療法を行います。治療方法は、痛みや貧血の度合など、QOLがどの程度低下しているか等により異なります。

4. 他にもこんな生理トラブルには要注意!

  • 生理痛というと、腰痛をはじめ、下腹部の痛みや頭痛などが挙げられますが、そのほかにも気をつけておくべき症状があります。

  • 4-1. 生理不順

    月経周期はだいたい25〜38日周期が正常であるとされています。ところがストレスや生活習慣の乱れなどによってホルモンバランスが崩れると、生理不順になってしまうので注意が必要。生理不順の原因が、子宮ではなく、ホルモンを分泌している甲状腺の機能異常などである可能性もあります。

  • 4-2. 不正出血

    生理でもないのに出血があることを不正出血といいます。ホルモンバランスの乱れが原因の場合もありますが、なんらかの病気の能性も。考えられるのは、子宮頸がんや子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜炎、膣炎、子宮頸管ポリープ、子宮膣部びらんなどで、これらは「器質性出血」と呼ばれています。

  • 生理時に腰痛を伴う原因は、プロスタグランジンが過剰に分泌されたり、骨盤内でうっ血が起こることが挙げられます。これらの対策としては、ストレスをケアしつつ体を十分に温めることが大切です。適度な運動なども行ってセルフケアに努めましょう。ただし、症状が重い場合は、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの疾患の可能性もありますので、早めに婦人科を受診するようにしてください。生理不順や不正出血も軽く考えず、慎重かつ適切に対応するようにしましょう。

  • 成城松村クリニック院長 松村圭子

    監修者プロフィール 成城松村クリニック院長 松村圭子
    専門分野は婦人科。日本産科婦人科学会専門医。2010年、成城松村クリニックを開院。婦人科疾患のみならず、女性のトータルケアをサポートする。月経トラブル、性感染症、更年期障害など女性のあらゆる不調に対応するために、西洋医学だけでなく漢方薬やサプリメント、オゾン療法、高濃度ビタミンC点滴療法なども積極的に治療に取り入れている。また女性の美と健康に関する知見を活かし、さまざまなメディアで活躍。著書に『「女性ホルモン力」を高める簡単ごはん』(芸文社)、『女性ホルモンがつくる、キレイの秘密』(永岡書店)、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『40歳からの女性の不調にやさしく効く漢方の本』(日東書院)など。

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