若いからと油断はダメ! 20代から気をつけるべき病気リスクと、その対策~婦人科からメンタルまで~
若いからと油断はダメ! 20代から気をつけるべき病気リスクと、その対策~婦人科からメンタルまで~

2017/12/15

若いからと油断はダメ! 20代から気をつけるべき病気リスクと、その対策~婦人科からメンタルまで~

がんや脳卒中などの三大疾病とは縁遠いイメージのある20代~30代の女性。
だけど逆に、若い女性のほうがかりやすい病気も存在します。
仕事や環境の変化に追われて体のケアを怠りがちな年代だからこそ注意したい、代表的な病気を紹介します。

取材・文:江尻亜由子、監修:伊藤まゆ先生(M'sクリニック南麻布)

婦人科系の不調を放置して、良いことはひとつもない!

  • 「若い女性の病気として最も多いのが、子宮・卵巣などの婦人科系です。これらの病気では、生理痛の重症化や生理不順などがその兆候としてあらわれることも多いので、それまでより重い、周期が変わった…などの状態が続く場合には、婦人科のある病院へ検査に行きましょう」(伊藤まゆ先生・以下同)

  • 卵巣囊腫

    10代でも疾病の可能性があるのが、卵巣囊腫。

    「卵巣は、子宮の両側に1つずつある臓器。ピンポン玉大で軽く、固定されずに吊られた状態です。卵巣嚢腫は、その卵巣の中に袋状の腫瘍ができ、液体がたまる病気。ほとんどが良性で、腫瘍が小さいのであれば問題ないのですが、腫瘍が大きくなり重くなっていくとその重さでねじれて卵管などの血流が悪くなり、周囲が壊死して炎症を起こすなどして、突然腹痛を引き起こします。吐き気を伴って病院に搬送されるくらいの激痛になることも多いです」

  • 原因は様々で、腫瘍の発生自体を防ぐのは難しいよう。

    「まずは、婦人科での検査を。腫瘍が悪性の場合もあるので、その場合はすぐに手術を行います。小さい良性腫瘍の場合は経過観察することが多いですが、良性でも大きい場合は手術で取り除きます。手術後も、自然妊娠・出産は可能ですよ」

  • 子宮筋腫

    子宮筋腫は10代で発症することは稀で、20代からの病気。

    「子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)など、子宮の内外にできる良性の腫瘍を子宮筋腫といいます。子宮は大体こぶし大ですが、子宮筋腫も子宮本体と同じくらいに大きくなることがあり、その場合はお腹がぽっこり出た状態に。腫瘍が小さい場合は特に症状もありませんが、内側にできたものが大きくなると生理痛が重くなり、月経量も増えます。できた場所によっては妊娠しづらくなったり、流産しやすくなることも」

  • 子宮筋腫も、できるのを防ぐ方法は今のところありません。

    「生理が重い、痛いなどが続いたら婦人科へ検査に行きましょう。保険がきくので、小さいものができている場合は年に1度は病院へ行き、経過観察を」

  • 子宮頸がん

    20代前半でもかかることがあり、若い世代の患者が多い子宮頸がん。20~30代の女性が最も注意すべき病気です。

    「子宮下部の管状の部分(子宮頸部)に生じるがんが、子宮頸がん。HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが原因だと考えられ、性交渉の経験があれば誰でも感染する可能性があります。HPVが子宮頸部に定着して異型細胞が増殖し、がんへと進行。早期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると不正出血、おりものの異常、性行為での出血、下腹部の痛みなどが出てきます」

  • 防ぐ方法は性交渉をしないことですが、あまり現実的ではありません。

    「性交渉を経験する前の12〜13歳までに予防ワクチン接種を行う対策が進められていましたが、一部で起きた副作用が重篤だったので、対策が進まない原因となっています。性交渉未経験者でワクチンに抵抗がないなら、接種を。また子宮頸がん検診は子宮の出口を綿棒などでこすって細胞を検査するだけなので、20代のうちから1年に1回など定期的にがん検診へ行くことをおすすめします」

貧血の影には、様々な病気が隠れている可能性が

  • 貧血

    婦人科系以外で女性が気をつけたいのが、貧血。全身不調からメンタルへの影響まで、放置すると様々な悪影響があり、貧血の原因として病気が隠れていることも。

    「立ち上がった際に目の前が暗くなってふらついたりするのを貧血だと思っている方が多いのですが、それは起立性低血圧。貧血とは、血液中のヘモグロビン量が低下する症状です」

    ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ働きをしているため、それが不足する貧血になると、全身が細胞レベルで酸欠のような状態に。

    「ぼーっとする、全身の倦怠感がある、寝起きが悪く午前中のうちは調子が出ない、動悸や息切れがある、食欲不振などの状態は、貧血で起きる症状。これが一部でも頻繁に起きると心理的にもつらいため、メンタル不調にもつながりがちです」

  • そんな貧血の原因は、3つ。

  • 原因1 ヘモグロビンの材料が足りない食生活をしている

    「ヘモグロビンは、鉄分、葉酸、ビタミンB12が不足すると充分に作られません。これらの不足が原因の貧血にはまず鉄剤(病院で処方される鉄のお薬)を出しますが、それだけで突然元気になる方も。その後は、食生活を改善するよう指導します」

    鉄分不足というとほうれん草やプルーンが良いというイメージもありますが、これは非ヘム鉄なので体に吸収されにくいのだそう。効率良く摂るなら、下の食品を。

    「ヘモグロビンの材料になる食材はまず、赤身肉、魚の血合いなど、赤い動物性たんぱく質。鉄分として20〜30%が体に吸収されます。さらに葉酸のサプリメント、ビタミンB12のサプリメントも習慣に。この2つは食品からだと摂取しづらく、体内に蓄積しないので、毎日摂ることが大切。血液検査をする際に鉄分の数値は調べますが、葉酸とビタミンB12はなかなか調べないので、盲点になりがちです。女性は妊娠期に絶対必要となる成分なので、妊娠の予定がなくても日頃から必ず摂りましょう」

  • 原因2 ヘモグロビンの材料を吸収しづらい体質である

    「充分な食生活をしているのにヘモグロビンの値が低い人は、胃腸が悪いなどの原因で栄養分の吸収をしづらい体質であることが考えられます。ビタミンCを摂ることなどが対策ですが、まずは病院で検査を」

  • 原因3 体のどこかで出血している

    「軽い原因でいうと、月経時の出血量が多い場合。月経時は体内の血液量全体が減るので、ヘム鉄サプリなどを摂るようにしましょう。心配な症状でいうと、子宮の外に子宮の膜ができてしまう子宮内膜症で出血していたり、胃潰瘍や消化管の潰瘍などで出血しているという原因が考えられます。胃や消化管の出血がある場合はお通じが全体に黒っぽくねばつくのが特徴。食生活を改善してサプリメントなどを摂っても改善されない場合は、病院で検査しましょう」

  • 適応障害・ストレス性うつ状態・ストレス性腸炎

    いつもだるい、しっかり眠れない、不安感が強くなる、1週間以上気分が晴れない状態が続く、仕事が手につかない…などのメンタル不調は、若い世代だからこそ気をつけたい病気。

  • 「仕事や人間関係で、逃げ出したい、でも逃げ出せない…という状況で我慢の限度を超えると、上記のような症状が出てきます。仕事では、新人時代だと日々の業務を覚えるのに精一杯ですし、年齢と共に徐々に責任が増し、裁量はないのに責任は増す、というきつい状態になりがち。また周りが結婚し始めると焦りもあり、仕事から逃げるために結婚するようなことも。しかし結婚で環境が変化したり、思うように満足感が得られないと、それもストレスに。一方で貧血や働き過ぎなどによる疲労、ホルモンバランスの変化などの身体的な原因も考えられます」

  • そんなメンタル不調を防ぐには、しっかり睡眠時間を確保する、バランスの良い食事をする、などの基本が大切。では、精神的な部分で気をつけるべきなのは?

    「同じ環境の仕事仲間と話をして発散するのも良いですが、仕事と全く関係ない場に参加して友人を作る、1人でも楽しめる趣味を見つける、ペットに癒やされる、など生活を仕事オンリーにしないで別の場所を確保することが大事だと思います。また人間関係で悩む人は、他人の言葉を必要以上に悪い意味で受け止めがち。世の中に意地悪な人はそれほど多くないので、言葉そのもので受け止めず、相手が自分のために言ってくれたことなのかも、という考え方をすることも大事です」

  • 上記の病気すべてに言えることとして、「こんなに若いのに病気になるはずがない」という油断が一番危ない、と伊藤先生。

    「20代~30代は、女性の人生が大きく変化する時期。就職、結婚、出産などで環境が変化します。一方で仕事も忙しく、心身への負担はかかっているのですが、まだ体力がある年代なので無理ができてしまう。実は、それが後々体を病気リスクにさらす要因です。パワーで押し切らず、きちんと自分の体に向き合って対処するようにしてください」

  • M'sクリニック南麻布院長 伊藤まゆ先生

    ■お話を伺ったのはこの方 M'sクリニック南麻布院長 伊藤まゆ先生
    聖マリアンナ医科大学卒。同大学病院、関連病院にて一般消化器外科に勤務し、メディアージュ青山通りクリニック院長を経てM'sクリニック南麻布を開院。消化器外科と美容医療をベースに、内科、皮膚科、アロマテラピー、メディカルエステまで幅広く診察。雑誌記事の監修なども多数。

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